グルメGourmet

複数の民族がともに暮らすマレーシアの料理は、驚くほどバラエティに富んでいます。ココナッツミルクとスパイスのマレー料理、点心から麺まで多種多彩な中華料理、香り豊かなカレー文化のインド料理、そしてマレーシア発祥のニョニャ料理。この4つのグループを中心に広がる多彩な味は、多文化が共存するマレーシアそのものです。ちなみに、マレーシアでいちばんポピュラーな挨拶は「スダマカン?」。 ご飯食べた?という意味で、それほど食文化が生活の中心にあることを表しています。



4大グルメ

マレー料理

ココナッツミルクをよく使う料理です。加えて、唐辛子の辛み、パンダンリーフやターメリックなどのハーブの香り、タマリンドの酸味を効かせます。じっくり時間をかけて煮込み、コク深い味に仕上げる料理が多いのは、ご飯に合わせて食べるのが基本スタイルのため。辛みは、あとからジワッとくるタイプです。また、おもにイスラム教徒であるマレー人向けの味なので、料理に豚肉と酒を使わない「ハラル」の調理法に則っています。代表的な料理は、サテー、ナシゴレン、ナシレマ、チキンカレー(カリアヤム)。ABCやピサンゴレン(バナナ揚げ)などのデザートも充実しています。

中華料理

おもに19世紀に渡ってきた中国移民によって、マレーシア料理は世界でも稀にみるバラエティに富んだものになりました。彼らのルーツは多岐にわたっていたため、ひとことに中華料理といってもさまざまな味があります。広東、客家、潮州、福建などで、とくに広東の流れをくんだ点心文化は、本場顔負けの本格派。今やマレーシアの食文化として、民族の垣根を超えて親しまれています。マレーシアで発展を遂げた料理も多く、代表的な料理は、バクテー、チキンライス、ヨントウフ(マレーシア風おでん)。パンミー、チャークイテオなど麺料理もバラエティ豊かです。

インド料理

おもに19世紀、英国統治時代に移り住んだインド移民が持ちこんだ料理です。南インド出身者が多かったことから、南インドのミールスそっくりのバナナリーフカレーがマレーシア各地で食べられます。また、タンドリーチキンもポピュラー。常夏の気候にカレー文化は非常にマッチし、今では民族を問わず、マレーシア人皆はカレーが大好き。ロティチャナイ、トーサイ(クレープのような生地の軽食)、ブリヤニ(スパイスの炊き込みご飯)、テタレはインドをルーツとしますが、もはや国民食といってもいいほど。多数のカレー並んだナシカンダーも万人に支持されています。

ニョニャ料理

15世紀から中国人男性がマレー半島に移り住み、現地の女性と結婚して生みだしたのがニョニャ料理です。彼らの子孫のうち男性をババ、女性をニョニャと呼ぶことが料理名の由来で、東西貿易で栄えたマラッカ発祥の味になります。特徴は、マレー半島で好まれるハーブやココナッツミルクに、豆腐や干し椎茸などの中国食材を加えること。多数の食材と工程を必要とする凝った料理が多く、一度食べると虜になります。オタオタ、パイティなどの前菜、ニョニャ・ラクサ、ウダン・ルマッ・ナナスなどの煮込み料理、カラフルなニョニャ・クエなど種類豊富なのも特徴です。


グルメ図鑑

マレー料理

サテーSatey

屋台料理の定番、サテー。レモングラスやターメリックで下味をつけた肉を串に刺し、炭火でこんがり焼いたもの。コク深い甘辛のピーナッツソースをかけて食べます。鶏肉が一番ポピュラーで、牛肉、羊肉のサテーも人気です。

ナシレマNasi Lemak

マレーシア人のソウルフード。ココナッツミルクで炊いた香りのいいご飯に、サンバル(チリソース)を混ぜて食べます。ゆで卵、きゅうり、ピーナッツ、小魚が添えられていて、唐揚げやカレーを追加することも。朝食の定番です。

ナシゴレンNasi Goreng

ナシ=ご飯、ゴレン=炒めるで、つまりは炒飯のこと。店によって具や味つけはさまざまで、唐辛子で辛くするのが主流です。目玉焼きをのせ、さらに唐辛子醤油(チリパディ醤油)で辛味を加えながら食べると一層美味しいです。

ミーゴレンMee Goreng

ミー=麺、ゴレン=炒めるで、焼きそばです。具は海老や野菜、麺は卵麺で、ピリッと辛い味が基本。料理の仕上げに、とき卵をからめてしっとり作る「ママッ・スタイル」も人気。ビーフンを使ったミーフンゴレンも定番です。

カンコン・ブラチャンKangkung Belacan

人気の野菜炒めです。カンコン=空心菜、ブラチャン=オキアミを発酵させたマレーシア特有の調味料で、ブラチャンの濃厚な香りが食欲を刺激します。サンバルで炒めたカンコン・サンバル炒めも人気で、どちらもご飯がすすむ味です。



ご当地ヌードル《ラクサ》Laksa

ラクサは、マレーシア全域で食べられている人気の麺料理で、日本のラーメンのように地方ごとに味が異なります。米の麺を基本とし、スープは大きく分けるとカレー系と魚のだし系の2種あります。

ペナンラクサ(ペナン・アッサムラクサ)

ペナンの名物。ほどよい酸味と辛味のある魚スープで、麺は太めの米麺。風味づけに独特の香りがある海老ペーストを加えます。

ニョニャラクサ

マラッカ生まれ。海老の香りとココナッツミルクのまろやかなスープ。麺は卵麺が多く、海老、厚揚げ、ゆで卵など。

カレーラクサ

クアラルンプールで人気。ココナッツカレーのスープは、後から辛みがきます。麺はビーフンか卵麺で、具は鶏肉、油揚げ、ゆで卵など。

サラワクラクサ

サラワク人のソウルフード。黒胡椒と山椒の香り立つカレー風のスープ。麺はビーフンで、具は海老、鶏肉、錦糸卵など。

中華料理

バクテーBak Ku Teh

中国漢方で豚肉をじっくり煮込んだスープ料理です。滋養強壮に効果があるといわれ、中国系マレーシア人のスタミナ源。豚肉は、骨付き、内臓系など、好みの部位が選べます。意外にもクセのすくない味で、ご飯によく合います。

チキンライスChicken Rice

東南アジアの定番料理チキンライスは、マレーシアでも人気です。ゆで鶏と鶏スープで炊いたご飯のコンビで、チリソースや生姜ソースをかけて食べます。最近はスパイスを効かせたマレー系の「ナシアヤム(チキンライス)」もポピュラー。

チャークイティオChar kway teow

チャー=炒める、クイティオ=米麺で、香ばしく米麺を炒めた料理です。具は海老、野菜、カリカリの豚の脂身などで、もっちりした米麺の食感が特徴。マレーシア全土で食べられますが、とくにペナンのチャークイティが有名です。

インド料理

ロティチャナイRoti Canai

マレーシアの定番の朝食。薄くのばした小麦粉の生地を層にして焼いたもので、カレーソースで食べます。インド系の食堂では、注文後に職人が生地を伸ばすところから手作りしていて、モチッサクッの焼きたてを提供しています。

タンドリーチキンTandoori Chicken

おなじみのインド料理タンドリーチキンは、マレーシアで手軽に食べることができます。それもヨーグルトやスパイスに漬け込んだ鶏肉をタンドリー窯で焼き上げる本格派。食堂や屋台で手ごろな値段で提供しています。

バナナリーフカレーBanana Leaf Curry

バナナの葉を皿にして、カレーやおかずを盛り付けたカレーセットです。おかずの種類は店によってそれぞれで、カレーは汁のみで具はありません。チキンカレーや唐揚げなどを食べたい場合は、追加でオーダーしましょう。

ニョニャ料理

オタオタOtak Otak

マレーシア版のかまぼこです。魚のすり身に、ココナッツミルクやスパイスを加え、バナナの葉に包んで蒸し焼きにします。東南アジアらしい香りが特徴で、辛くないので食べやすさもマル。マレー系の屋台でも提供されています。

パイティーPie Tee

ニョニャ料理で人気の前菜です。カリッと揚げた一口サイズのカップに、海老や野菜、卵焼きなどが入っていて、チリソースをつけて食べます。口のなかで、外側のパリパリ食感やさまざまな具の味覚が弾けます。

ウダン・ルマ・ナナスUadang Lemak Nanas

海老とパイナップルの煮込みです。スープのベースはまろやかなココナッツミルクで、パイナップルの甘酸っぱさと唐辛子の辛味を加え、レモングラスとターメリックで香りをつけた魅惑の味。ご飯と一緒に食べるとハマります。

ドリンク

テ・タレTeh Tarik

マレーシアで人気No.1のドリンク。練乳入りの甘いミルクティーで、辛い料理によく合います。テ=紅茶、タレ=引くで、テタレの独特の淹れ方に由来。空気に触れるよう数回コップを移し変え、泡を立たせて味をまろやかにします。

コピKopi

ローカル珈琲のこと。苦みが強いため、練乳を入れて甘くして飲むのが基本です。甘さひかえめは「コピ・クランマニス」と注文しましょう。マレーシアは各州で珈琲を栽培していて、マラッカに飲み比べができるカフェがあります。

シロップ・リマウSyrup Limau

バラの香りがする甘いジュースに、柑橘類「リマウ」を入りて、さっぱり仕上げています。リマウなしの「アイル・シロップ」もよく飲まれていて、こちらは甘いのみ。赤いドリンクは縁起がよいとされ、結婚式でよく出てきます。

バンドゥンBandun

マレー系のレストランで人気のジュースです。バラの香りがするローズシロップを水で割り、練乳を加えたもので、ピンク色が華やか。そのため結婚式のドリンクとしても人気です。かなり甘いので、辛い料理に合わせましょう。


まるで金魚袋?! 持ち帰りが楽しい!

屋台や食堂でドリンクを持ち帰ると、ビニール袋で渡されます。紐でキュッとしばってあり、端の空いたところにストローをさします。どこかに置きたいときは、紐をひっかけて固定。店内で飲むより若干量が多く、値段も少し高くなります。

スイーツ

ABC(アイスカチャン)Ice Kacang

具だくさんな人気のかき氷。ABCとはAir Batu Campurの略で、アイルバトゥ=氷、チャンプル=混ぜる、です。具は豆、ゼリー、フルーツ、コーンなど。豆(カチャン)入りなので「アイスカチャン」とも呼びます。

マンゴーロロMango Lolo

マンゴーピューレとマンゴーの果肉をトッピングしたかき氷。フルーツ天国マレーシアだからこそできる贅沢な味です。なお、クアラルンプールには香港発のスイーツ店「許留山」があり、ここでもマンゴースイーツを提供しています。

チェンドルCendol

ニョニャ料理の人気のスイーツ。フレッシュなココナッツミルクとグラムラカ(マラッカ産のパームシュガー)のシロップをかけたかき氷で、上品な甘味が後をひきます。具は、甘く煮た小豆とパンダンで香りをつけた緑色のゼリーです。

ニョニャクエNyonya Kueh

ニョニャとはマラッカ発祥の料理で、クエとはお菓子のこと。ココナッツミルクと米粉を使った菓子が多く、人気なのは「クエ・ラピス」。しましまの見た目が特徴で、甘さはひかえめで食べやすく、もっちりした食感はういろうに似です。

カヤトーストKaya Toast

カヤとはココナッツミルクで作る甘いジャムのこと。薄切りのトーストに、カヤとバターを挟んだカヤトーストはマレーシアの定番の朝ごはん。カヤの甘さとバター塩気がやみつきになります。温泉卵に浸して、テタレやコピと一緒にどうぞ。


ハイティー&アフタヌーンティー

英国統治時代に根づいたアフタヌーンティー&ハイティー文化。現在もホテルやレストランで味わうことができます。ペナンの「E&Oホテル」は伝統的なイングリッシュスタイル。マラッカの「マジェスティック・ホテル」はニョニャクエ入りなど、それぞれ工夫をこらしています。日本に比べて割安な価格で楽しめるのも醍醐味です。


日本国内のマレーシアレストラン