サラワクSarawak

マップ

マレーシアで最大面積を誇るサラワク州。観光の拠点となるのは州都クチンで、かつて東南アジア初の白人王(ホワイト・ラジャ)が誕生した町。コロニアル様式の建物が町を彩り、またネコという町の名前にちなんで、ネコ博物館やネコ祭りがあることでも知られています。そして、世界遺産グヌン・ムル国立公園に代表される神秘の大自然を体感できるのもサラワク州の醍醐味。これらのスポットに個人で行くのは難しいので、クチンやミリ発着のツアーの利用しましょう。

アクセス方法

   

飛行機で

●クアラルンプールから
国内線で約1時間45分
●コタキナバルから
国内線で約1時間20分
●シンガポールから
国際線で約1時間30分

クチン

サラワク州の州都クチン。町を流れるサラワク川は、かつて住民の貴重な交通路であったため、町は川沿いに細長く広がっています。中心部に、歴史的建物、モスク、中国寺院、博物館などの見どころがコンパクトにまとまっているので、観光しやすい町です。

ネコの街の真相

「クチン」はマレー語でネコのこと。名前の由来は諸説あり、かつてサラワク川沿いに「マタ・クチン=猫の目」(別名ロンガン)という果物の木が自生していたため。また、この地に古い井戸があり、中国語読み「Ku Jin グーチン」によるもの、などです。どちらも動物のネコとは関係がなく、実際のところ、サラワク州でネコは「ブサッ」といいます。といっても現在、ネコはクチンのシンボルとしてすっかり定着。ネコの銅像、ネコ博物館、毎年8月にはネコ祭りがあり、第1週の土曜日にはネコの仮装パレードで盛り上がります。もちろん、動物のネコも町のいたるところでのんびり暮らしています。

ウォーターフロント周辺

ウォーターフロントWaterfront

クチン中心部を流れるサラワク川。川沿いは約900mにわたって遊歩道になっていて、旧宮殿のアスタナ(リンク)、傘型の屋根がユニークなサラワク州議会議事堂などを眺めながら散歩ができます。川の向こう岸に行きたいときは、渡し舟に合図をすると、こちらにきてくれます。川周辺はホテルが立ち並び、食堂、歴史的建築物、おみやげ店が集まった観光スポットです。

アスタナAstana

かつてこの地を治めた2代目の白人王、チャールズ・ブルックが1870年に建てた宮殿です。平屋建ての3つの建物からなり、頑丈なベランダでつながっています。現在はサラワク州知事の公邸で、外観を眺めるのみになっています。

スクエアタワーSquare Tower

歴史を物語るコロニアル建築の建物です。独特の四角い外観は、1879年に要塞として建てられたため。その後、ダンスホールとして利用され、現在はイベント会場になっています。近くにある中央郵便局、旧裁判所も美しいコロニアル建築です。

マルゲリータ砦Fort Margherita

1879年、海賊からの防衛のために建てられた砦。名前は、当時の王チャールズ・ブルックの妻マーガレットに由来しています。砦の内部は、サラワク王国を建国したジェームズ・ブルックに関するギャラリーになっていて、見学ができます(有料)。
※警察施設の中にあるため、砦に入場する際に身分証明書の提示を求められることがあります。
アクセス
ウォーターフロントから渡し舟で約5分。

メインバザール通りMain azaar

サラワク川の南側、風情あるショップハウスが軒を連ねる通り。1階は店になっていて、サラワク州の民芸品である籐製品、織物。また骨董品、Tシャツ、雑貨、お菓子などさまざまなものを販売しています。おみやげ探しにぴったりのエリアです。

クチン市内

ネコの像Great Cat of Kuching

クチン中心部、パドゥンガン通りに立つネコの像。クチンを象徴する人気の撮影スポットです。というのも、クチン(kuching)はマレー語で“ネコ”を意味し、このようなネコの像が町のあちこちに建てられています。

テキスタイル博物館Textile Museum

伝統織物や刺繍などを展示した博物館。先住民族イバン族の織物やビーズ装飾、プラナカン(リンク)の刺繍、インド系のきらびやかな結婚衣装など、マレーシアで暮らす人々の装いの数々が集められています。金銀糸を織り込んだソンケットも必見です。
開館時間
[月-金] 9:00~16:45 [土日祝] 10:00~16:00
入館料
無料

サラワク博物館The Sarawak Museum

ボルネオ研究の観点から世界的に高く評価されている博物館。1階にはサラワク州に生息する動物の標本。2階には先住民族の家屋、生活用品など。首狩り族として恐れられていたイバン族の住居を再現した展示など、生活様式がわかる模型や写真も多数展示されています。白人王の2代目、チャールズ・ブルックのコレクションが礎になっています。
開館時間
9:00~6:00
入館料
無料

ネコ博物館Cat Museum

クチン北市庁舎内にあるユニークなネコ博物館。世界中のネコに関する資料が集められていて、古代エジプトのネコのミイラに、日本の「なめ猫」パネル、招き猫グッズに、ミュージカル「キャッツ」のポスターまで。ギフトショップではネコグッズが購入できます。
開館
9:00~17:00
入館料
無料
(カメラ持ち込みRM3、ビデオ持ち込みRM5)

郊外

クチンの周辺にも様々な観光スポットがあり、オランウータン保護センター、国立公園、先住民族の文化村に訪れることができます。

サラワク文化村Sarawak Cultural Village

先住民族の伝統や文化が体験できる観光スポット。サラワク州を代表する7つの先住民族の伝統家屋が再現され、それぞれの民族の人たちが迎えてくれます。1日2回行われる民族舞踊ショーでは、見事な吹き矢のパフォーマンスも見れます。
アクセス
クチン市内から車で約45分
開園時間
9:00~17:00
入園料
大人RM60、子供RM30、6才未満無料

ダマイビーチDamai Beach

南シナ海とサントゥボン山の間にあり、海と山の両方の景色が楽しめるビーチ。海辺のシャレーが人気のホテル「ダマイ・ビーチ・リゾート」、ゴルフ場、すぐ隣にサラワク文化村もあります。クチンから車で45分ほどの場所です。

セメンゴワイルドライフセンターSemenggok Wildlife Centre

ボルネオ島全体で取り組んでいるオランウータンの保護活動。怪我をしたり、親とはぐれたオランウータンを保護し、野生に戻す活動をしている施設です。施設といっても柵はなく、オランウータンは半野生の状態。毎日2回(8時半~、14時半~)餌やりがあり、その時間に訪れると、森の奥から餌を食べに現れるオランウータンを見ることができます。ただし、自力で餌を見つけられている場合は出てこないこともあります。
アクセス
クチン市内から車で約40分
開園時間
8:00~10:00 / 14:00~16:00 
※餌付け時間は9:00~10:00、15:00~16:00の1日2回
入園料
大人RM10、子供RM.5

マタンワイルドライフセンターMatang Wildlife Centre

ボルネオ島に生息する野生生物の保護センター。オランウータン、マレーグマ、ジャコウネコ、テナガザル、ホーンビルなどが保護されていて、その様子を見学できます。オランウータン保護活動を体験する「ハート 2 ハート」のプログラムも実施しています。
アクセス
クチン市内から車で約40分
開園時間
8:00~17:30
※餌付け時間は9:00~10:00、15:00~16:00の1日2回
入園料
大人RM3、子供RM1

バコ国立公園Bako National Park

南シナ海に面した国立公園。多様な野生生物の宝庫で、テングザル、カニクイザルなどが生息しています。クチンからバコ村まで車で1時間、バコ村からボートで25分の距離にあります。動物を見たいのなら、ガイド付きツアーに参加するのがおすすめです。
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その他エリア

熱帯雨林が広がるサラワク州には多くの国立公園があります。それも、世界最大の花、300万匹ともいわれるコウモリの群れ、4万年前の人類の跡など壮大なスケールです。大自然で癒され、トレッキングで冒険気分を味わいましょう。

グヌン・ガディン国立公園Gunung Gadin National Park

世界最大の花、直径約1メートルのラフレシアが自生している国立公園です。ラフレシアは、発芽してから開花まで約9ヶ月かかり、1度咲くと4~5日で腐ってしまいます。公園事務所で開花情報が手に入るので、確認してみてください。
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バタン・アイ国立公園Batang Ai National Park

クチンから車で約4時間の国立公園。サラワク州人口の最大数であるイバン族の故郷で、ジャングル・トレッキングをしながら、彼らの伝統家屋ロングハウスを訪れることができます。湖畔のリゾート「アイマン・バタン・アイリゾート」滞在も人気です。
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ミリMiri

サラワク州北東部に位置するミリは、クチンから飛行機で1時間、ブルネイと国境を接する町です。20世紀初頭に油田が発見され、マレーシアを代表するオイルタウンとして知られています。比較的広い町で、クロコダイルファーム、石油ミュージアム、ハンディクラフト・センター、乾物市場などが見どころ。沖に珊瑚礁が広がり、ダイビングスポットとしても人気です。世界遺産のグヌン・ムル国立公園、ニア国立公園への観光は、このミリの町から向かいます。
アクセス
・クチンから:国内線で約1時間
・クアラルンプールから:国内線で約2時間15分

シブSibu

サラワク州で2番目に大きい町。古くから貿易の中継点として栄え、川沿いに開けた商業都市です、見どころはサラワク州随一の規模を誇る中央市場で、2階の食堂はローカルグルメの宝庫。ナイトマーケットの規模も圧巻です。中国系住民が多く、七層観音塔が町のシンボル。川べりに暮らすイバン族のロングハウス訪問は、シブで人気のツアーになっています。
アクセス
・クチンから:国内線で約40分。
・クアラルンプールから:国内線で約2時間。

グヌン・ムル国立公園Gunung Mulu National Park

世界最大の洞窟群が広がる神秘の世界。サバ州のキナバル山と並んで世界自然遺産に登録されています。約500万年の山を熱帯性の激しい雨が削りとった洞窟。夕方になると無数のコウモリが飛び立つ「ドラゴンフライ」という圧巻の光景を見ることができます。
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ニア国立公園Niah National Park

考古学的に重要視されている洞窟「グレート・ケイブ」を有する国立公園。この地域で4万年も前に人類が活動していたことを示し、1,000年以上前に描かれた壁画があります。また、ツバメの巣の採集が行われる場所としても有名です。
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独自の文化

古くからこの土地で暮らす先住民族は、それぞれの生活風習に合わせた独自の文化をもっています。なかでも、かつてヘッドハンター(首狩り族)として名を馳せたのがイバン族。織物、自家製酒も、彼らの生活習慣に深く結びついています。

首狩りが行われた理由

多くの先住民族が暮らすボルネオ。部族によってさまざまな文化をもち、かつて首狩りという習慣のあった部族もいます。なかでも最強の首狩り族として恐れられたのが、サラワク州人口の最大数、約3分の1を占めるイバン族です。イバン族では、敵対する村の人間を討ち、その頭部を持ち帰ることが勇者の証とみなされていました。とくに結婚前の男性は「ブラジャイ」と呼ばれる旅に出て、首を持ち帰ることで一人前になり、花嫁を迎えることができたといいます。また、頭部には精霊が宿ると考えられ、持ち帰った頭蓋骨は囲炉裏の煙りでいぶし、魔除けとして、彼らが暮らしていたロングハウスの天井から吊るすのが慣例でした。この首狩りの習慣は白人王ブルック家の統治時代、キリスト教の布教がすすむにつれて消えていきましたが、今でもイバン族のロングハウスでは当時の頭蓋骨を目にすることができます。

イバン族の暮らしとロングハウス

川沿いや森での暮らしに共同作業を必要としたイバン族は、ロングハウスと呼ばれる長屋で暮らしています。数十人もの大家族が共同で生活できる高床式住居で、共有スペースである長い廊下「ルアイ」に面して、各家族の部屋が並んでいます。伝統的な機織り物「プア・クンブ」は、幾何学模様や人型など不思議な柄で、これは機織りの女性が、夢で教えられたデザインを図案にしていたためです。織物は儀式的な用途にも使われ、悪霊を避けるために被ることもありました。また、首狩り族ならではの勇壮なダンス、男性が勇敢さを誇示するために入れるタトゥー、もち米を発酵させた「トゥア」というお酒も、イバン族を象徴する文化です。このような先住民族の文化は、クチン郊外にあるサラワク文化村やロングハウス訪問ツアーで体験することができます。
※ロングハウスツアーは、各旅行会社へお問い合わせ下さい

ロングハウス風ホテル

イバン族の故郷といわれるバタン・アイ国立公園の湖畔にある「アイマン・バタン・アイ・ リゾート&リトリート」。ここはロングハウスをイメージして建てられたリゾートホテルで、サラワクの大自然と伝統文化を体感することができます。